TADAYUKI NAITOH AFRICAN VIBERATION
内藤忠行 写真展「アフリカン・バイブレーション」2007年5月17日(木)〜7月2日(月)キャノンギャラリーS
今回の展覧会は私のヒーロ−、マイルス・デイビスのオマージュを軸にジャズ、ゼブラそして野生の日常を俳句の感覚を取り入れた組み写真で構成し、モノクロとカラー、アナログとデジタルの融合を試みた。
● 開館時間/10:00〜17:30
● 休館/日曜・祝日
● 入場無料
● JR品川駅港南口より徒歩約8分、京浜急行品川駅より徒歩約10分
● お問い合わせ/03-6719-9021
内藤忠行 講演会
日 時: 2007年6月16日(土)13時30分〜15時30分
会 場: キヤノン S タワー 3階 キヤノンホール S
内 容: 1964年から撮りだした最初のテーマ「ジャズ」から現在に至る写真表現の可能性とその思いを語る。
語り合う人 高橋周平(多摩美術大学助教授)
定 員: 300名
申 込: 下記サイトより申込
http://cweb.canon.jp/s-tower/floor/1f/gallery/african-vibe/index.html#talk
CANON GALLERY キヤノンギャラリー S
〒108-8011 東京都港区港南2-16-6 CANON S TOWER
http://cweb.canon.jp/s-tower/floor/1f/
MAP
写真家・内藤忠行が活動を開始した70年代前半という時代は、思い返せば不思議な時代だ。 連綿と続いてきた「報道写真・事実の目撃者」という太い流れから離れ、若い写真家たちは「カメラを持った表現者」を目指しはじめる。 ただいきなりそれは起こるのではなく、目撃者と表現者が時代の中で混在しながら、 あるいはひとりの写真家の中にその両方が融合しながら大きくなっていった。 そうした混乱は不思議なエネルギーを生む。時代の熱い空気というものだ。 内藤忠行は、このころJAZZシーンにカメラを向け、目撃しながら表現することのエネルギッシュな混沌に身を任せていた。 内藤がこの頃撮影したおびただしい数のジャズメンたち。そのほとんどは、ライブステージ上で撮られている。 そこにはリズムと音があふれているはずなのに、たとえばそのひとりマイルス・デイヴィスは、エネルギッシュにプレイしながらも孤独と向き合い続けている、 という風に内藤のモノクロームプリントの中では見える。内藤はステージの華やかさには関心がない。探し求めているのは、JAZZという世界の奥底にある魅力、その本質なのだ。 集中的に撮影されたのは35年以上も前のことなのだが、これこそがJAZZなのだ、JAZZの本質にはこういう孤独感がつねにつきまとっているのだと、今でもプリントはかたくなに訴えてくる。 内藤は、JAZZにとりつかれた表現者のごく自然な成り行きとしてアフリカ大陸を目指す。 JAZZの根源を求める旅をはじめたのである。内藤の頭の中には、この頃、いつもマイルスが鳴り響いていたという。 彼の「カインド・オブ・ブルー」が、「ビッチェズ・ブリュー」が、頭の中でつねにリフレインしていた。 内藤はアフリカで貴重な出会いをしている。それはゼブラたちの魅惑的な姿だった。 世界の果てまで見通せるような無限の草原にあって、彼らゼブラの姿は、生命のアクセントになっている。 縞の文様はJAZZのリズムを彷彿とさせ、さらにどこかおぼろげではあったが彼の直感は、ゼブラの文様は、生命の永遠のかたちであり、日本人である自分の奥底に直結していると告げていた。 そのゼブラの文様を抜き出し、ひとつのグラフィカルなアート、オブジェとしてシンプルに見つめてみた。 するとその文様はさらに生き生きと強い生命を放ちはじめるのだった。それらの実験的とも言える作品を内包する写真集「ZEBRA」は、88年に上梓された。 「ZEBRA」が見ることを通じて発見していった作品だとすれば、それに続く桜は、日本人表現者がアイデンティティを強く意識し取り組んだ、観念的な作品だと言える。 彼の桜は、連続する宇宙の法則をあらわした作品だ。 「ゼブラの内藤忠行が今度は桜を撮っている」と周囲は知っていたが、あらゆる予想を超え、桜は徹底的に幾何学的なシンメトリーとなり、着物の姿をまとう巨大な作品として出現した。 この作品「SAKURA-COSM」において、表現者内藤の名声は頂点を極めることになった。 数年間、内藤はこの作品制作にかかりきりになる。そうなるとやはり新作が見たくなるものだ。内藤が実に久しぶりに手がけたテーマは、また予想を大きく超えるものだった。 京都の庭が彼の被写体に選ばれたのである。雑誌の連載を経て、「宇宙のかたち」と題された作品集に結実している。 中の一枚、竜安寺石庭の写真は忘れることができない。あの有名な石庭が宇宙(そら)と呼応し、無限の空間の果て で冷え冷えと凍っている。 静かなかすかな宇宙のエネルギーが感じられる。JAZZ、ZEBRA、桜、そしてまったく違うと思われた京都の庭でも、彼は一貫している。 奥底をのぞくことをあきらめていないのだ。求道者と言ってもいい内藤の歩みは、蓮の花を撮った最新作「LOTUS」にも、静かに美しく引き継がれている。 内藤忠行から電話をもらい、「今度は <アフリカン・バイブレーション> というテーマで展覧会を行う」と告げられたとき、 内藤はまた大きく歩みを進めようとしている、とすぐにわかった。 内藤は、宇宙を一渡り巡ってきて、さて今度は、自分の原点に回帰し、もう一度まっさらな気持ちで見つめ直したい、と考えているのだ。 そこで思い浮かべるのは、作品としてはもちろ ん「ZEBRA」である。だが、「アフリカン・バイブレーション」では、ZEBRA以前に立ち戻る。 カメラを持つ前から彼が全人生的に影響を受けてきたJAZZと、カメラによって彼が発見し、絶え間ない表現のエネルギーを得てきたアフリカを、ひとつの会場で直結させようという、 大胆な試みなのである。 作品は、未発表、既発表を取り合わせ、アフリカの自然と、マイルスら有名ジャズメンの大胆なコラージュが施される。 ZEBRAの新構成も登場するはずだ。内藤忠行は今頃、「自分の原点」と向き合っている。 そして、きっと一筋縄 ではいかない、誰もまだ見たことのない展示を考えている。 JAZZの即興プレイにも似た荒削りのヴァイブレーションが、会場には響き渡るに違いない。

高橋周平(多摩美術大学助教授)

誰にでも人生の方向を決定づける出会いというものがあるだろう。
私にとってそれはアフリカ系アメリカ人が創ったジャズだった「なんてかっこいい表現なんだ。」 特にマイルス・デイビスのトランペットのセンス、音色、フィーリングは私の未開の鼓膜を震わせた。
自然や生き物たちが好きだった少年の私にジャズは新たな感覚を授けてくれた。ジャズ喫茶が私の最もふさわしい居場所となり浴びるように何年もジャズを聴き続けているうち、 その感覚を映像化したくなり本能的に写真を選び写真家を志した。 エモーショナルな演奏に秘められたひたむきな叫びと情熱、本能的優しさ、天才の孤独と狂気、リアルな表面を写しながら目に見えないスピュリチャルな内面や独特な音色を映像化してきた。 そして幸運にもジャズの源のアフリカに導かれた。あこがれの大地は私をこどものように五感を解放してくれた。 足もとから続く地平線、草原をたなびかせ鳥の歌を運ぶ乾いた風、動物たちの美しいいとなみ、不思議な植物たちの色や型、 そして動物たちの文様、特にゼブラはプリミティブとモダンをあわせ持ち、不連続に連続するストライプはかげろうとセッションするようにポリリズムを奏で出す。 ゼブラは写真的冒険、ジャズ的展開にふさわしいと直感した。
マン・レイ初め、多くの写真家から撮影や暗室テクニック、被写体へのアプローチの仕方を学んだけれど現在に至るまで最も影響を受けたのはジャズを進化させ新たなサウンドを創造し続けたトランペットの詩人、 20世紀の天才音楽家、マイルス・デイビスからだ。どの時代のサウンドも私の琴線にふれ創造へ駆り立てる。
今回の展覧会は私のヒーロー、マイルス・デイビスのオマージュを軸にジャズ、ゼブラそして野生の日常を俳句の感覚を取り入れた組み写真で構成し、 キヤノンのプリンターを使用することにより、モノクロとカラー、アナログとデジタルの融合を試みた。

内藤忠行

1970年 写真集 「日野皓正の世界」 サンケイ新聞出版局
1977年 写真集 「NABESAN」 泰流社
1980年 写真集 「アフリカの旅」 Photo house OM
1981年 写真集 「地球風俗曼陀羅」 神戸新聞事業社 “毎日デザイン賞受賞”
1981年 レコード制作(アコースティック・ドキュメント)「MASAILAND」「DRY&WET」「NIGHT TRIP」トリオレコード
1982年 写真集 「アフリカの歌」 晶文社
1985年 レコード、CD制作 「TIMELESS」 ソニーレコード
1985年 レコード、CD制作 「ZEBRA」 MCAレコード
1988年 写真集 「ZEBRA」 情報センター出版局
1990年 写真集 「SAKURA-COSM」 扶桑社
1991年 写真エッセイ集 「Synchro Vibes」 JICC出版局
1992年 写真集 「わが心のアフリカ」ライアル・ワトソン共著 筑摩書店
1993年 ビデオ 「脳の縞」 Photohouse OM
1996年 CD-ROM 「ZEBRA FANTASY」 ハートランド
1997年 ハイビジョン作品監督 「The Song of Africa」ソニー
1998年 CD-ROM 「京の庭」デジタローグ “ニューヨークADC銀賞受賞”
1998年 写真エッセイ集 「宇宙のかたち 日本の庭」世界文化社
2000年 CD-ROM 「マンダラ・コスモロジー」デジタローグ “ニューヨークADC銀賞受賞”
2001年 デジタルビデオ作品 「ZEBRA」 RESFEST 2001 デジタル・フィルム・フェスティバル出展
2002年 「満月に祭りを」 たま出版
2003年 写真エッセイ集 「色はことのは」 末永蒼生共著 幻冬舎
2005年 写真集 「BLUE LOTUS」 評言社
2007年 写真エッセイ集 「日本の庭」 世界文化社 再販
写真エッセイ集 「Synchro Vibes」 JICC出版局 再販